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【ミュージカル「イザボー」】黒死病くん登場シーンまとめ

ミュージカル「イザボー」で出てきた「黒死病」、勝手に個人的に黒死病くんと呼んでたキャラが出てくるシーンの勝手にまとめたアドリブ記録です。

いつの間にか絶妙なアドリブシーンになっていて毎回呟いてたら楽しくなってきちゃったので勿体ないし需要は少なくとも私にはあるので1ヶ所にまとめとくことにしました。

 

(2024/2/15:23日マチネ分追加できましたありがとうございます。あと誤字修正。)

 

※15日、22日マチネの情報を持っていないのでもし提供いただける方がいらっしゃいましたら教えてください……
※16日、17日マチネ、19日マチネ、23日マチネ(日付の後※印がついているもの)はフォロワーさんに情報提供いただいたものを若干私の体裁に寄せて使わせていただいていますありがとうございました。

 

黒死病くんとは】
そんな名前の登場人物はいなあああああああああい!!!!!!!! と最初に出てくるお姉さんに怒られそうなほどにこのミュージカルにそういう名前の登場人物はいません。
物語のストーリーテラーの一人であるシャルル7世(甲斐翔真さん)がもうひとりのストーリーテラーである養母ヨランド(那須凛さん)にやらされてる体でその時代に蔓延した流行り病、黒死病(=ペスト)を説明するために1シーンだけ出てくる姿です。「シャルル7世がやってる」設定なので兼役とかでもありません、が、基本的にシャルル7世とは切り離して見た方がキャラは混乱しなくていいと思います。
たくさんの死者を出したという背景、黒い羽根を背負うその姿に、某閣下を幻視した人が続出したとかしないとか。

元々若干コミカルなシーンではありますがアドリブが入ることによってさらにコミカルになりいつしか名物シーンの1つになってた。(なお当初はアドリブやれというオーダーではなく、初日に何となくアドリブやったらどんどんハードルがあがってしまったとご本人が公演終了後のインスタライブでおっしゃってました)
個人的に、めちゃくちゃコミカルな導入から始まるこの曲がめちゃくちゃ格好いい曲というギャップ、しかし歌詞はその時代深刻なパンデミックを引き起こし壊滅的な人口減少や社会的なダメージを与えた出来事のある意味擬人化のようなものであること、また史実とは違う描き方になっているもののこのシーンでプリンシパルの登場人物から初めての死者が出て、ここからストーリーが一気にキナ臭く転げ落ちていくこと、そういった何重にもインパクトを秘めたシーンだったなと思います。でもあくまでも導入はこの後書く感じで軽い母子漫才みたいなシーンでした笑

 

【中で出てくる言葉】

  • しゃなな:「甲斐翔真のシャルル7世」、略して「甲斐シャ7」、さらに縮めた上でヨランドと文字数を合わせるために「しゃなな」。なお「甲斐シャ7」は本人が「シャルル6世とかぶるから」と自分で稽古場で考案したらしい。読みは「かいしゃなな」。中の人のスタッフも呟きで彼を「シャ7」と呼んでいた。
  • ライオンキングポーズ:本人がそう言ってた。両手を握って右手は肘で曲げて顔の前に、左手は後ろに伸ばして横向きになるあのシンバがやってるっぽいポーズで登場する。(本人がシンバのポーズのつもりでやってたと言ってた)本人が稽古場で勝手にやったら演出家さんに「面白いやん」と採用されたとのこと。(公演途中に開催されたファンミーティングでの発言より)
  • 羽根:何故か(何故か)このシーンのみ背負ってる黒い羽根。外見はまんま天使の羽根を黒くしたあれ。あれのせいで某閣下を(略)なお公演を追っていくと途中で出自に関する衝撃の事実が(?)

 

※基本的に呟きそのまま(誤字のみ修正)

※アドリブはヨランドが「ここで断るほどつまらない男ではないでしょう?(客席に向かって)ねえ?」と話し、会場に向けて拍手を煽った後から始まります。なので特筆が無ければそのセリフから続くものだと思ってください。ただし特に後半は出だしからアドリブみたいなことも多々あったのでそれはその都度なんとなくわかるように書いてるつもり。

※基本メモ等は取っておらず記憶頼み(配信を買った19ソワレ、25ソワレ以外)のため、細かい言い回しの違いや飛ばしているセリフ、勘違いしてるセリフがあると思います。だいたいこんな感じだったんだろうな程度で読んでください。

※どっかに怒られたら消します。

 

15日(初日)
(なんせ初見だったのでインパクト強すぎる上にそのうちそんな壮大なアドリブシーンになるなんて思ってなくて記録していなかったので憶えてない。ただし自分の呟きを遡る限りこの日からアドリブっぽい言動はしてたらしい。情報求む……)


16日※
しゃなな「(羽根を示し)……これいる?」
ヨランド「似合ってる^^」


17日マチネ※
しゃなな「(ヨランドの圧に)わたしはヴァロア朝第5」
ヨランド「シャルルセッツ! シャルルセッツ! シャルルセッツ!」
しゃなな「ハーーーーーーーーッ(深い溜め息)」


17日ソワレ【若干まだ本人が入ってる】
しゃなな「なんだよこの羽根……この時代にこんな羽根ねーよ」
ヨランド「笑」


19日マチネ※【まだ嫌そう】
ヨランド「シャルルセッツ! ……シャルルセッツ! ……できるこ!」
しゃなな「わたしを誰と心得る? ……ハー(ため息)」


19日ソワレ(マルチアングル配信あり)
ヨランド「シャルルセッツ! シャルルセッツ! 出来る子!」
しゃなな「(立ち位置に向かいながら)……ものすごい視線を感じる」


20日マチネ【この頃はヨランドの方がノリノリ】
ヨランド「シャルルセッツ! シャルルセッツ!」
しゃなな「……(無言で羽根をぶんって震わせる)」
ヨランド「できる!!!」


20日ソワレ
ヨランドが煽りすぎて拍手が鳴り止まない
それを手で抑えるようにして鎮めるかいしゃなな
しゃなな「……これはどういう状況なんだ?」
ヨランド「昔語りですから笑」


21日マチネ【だんだんアドリブが洗練されてくる】
しゃなな「……疫病?」
ヨランド「疫病。」
しゃなな「(ふーっ、と息をついて呼吸を整えてから)今下ろすから」
ヨランド「ノリノリ?」

 

22日マチネ【情報募集中】


23日マチネ※

ヨランド「シャルルセッツ! シャルルーセッツ! できるこ!」
しゃなな「疫病? ……(羽根を示しつつ吐き捨てるように)どこで売ってるんだ」

 

23日ソワレ【ついに登場した瞬間に拍手が起きるようになった】

しゃなな「……(ヨランドが盛り上げた拍手を、両手でボリュームあげるようにしてさらに盛り上げる)」
(会場たくさん拍手)
しゃなな「……(手を下ろして静める)」
(会場静かになる)
しゃなな「……気分がいいからやる」
ヨランド「笑」
しゃなな「(立ち位置に立ってからヨランドの方を向いて)これだけだからな!?」
ヨランド「これだけ?」
しゃなな「次はやらないからな!」
ヨランド「笑」


25日マチネ(最前列カメラ配信あり)【まだちょっと突然の声出しに戸惑ってる客席】

ヨランド「シャルルセッツ! シャルルセッツ!」(客席を促すように)
しゃなな「……(耳を澄ます)」
(戸惑う客席)
しゃなな「……何も聞こえないが」
ヨランド「……できる!」
しゃなな「……仕方ない」


25日ソワレ(演出家スイッチング配信あり)

(いつものように拍手を促すヨランド)
しゃなな「……(両手でさらに盛り上がれの仕草)」
(客席からさらなる拍手と歓声)
しゃなな「……(両手をすっと握る)」
(一瞬で静まる客席)
しゃなな「合格。」
ヨランド「笑」
しゃなな「やるか」
(立ち位置についてから手を前でひらひらさせるしゃなな)
ヨランド「おりてきてる?」


26日ソワレ【ヨランドこれもあなたの策略のうちか】

ヨランド「やってよ! 作ったんだから!」
しゃなな「……この羽根はあなたが作ったのか」
ヨランド「そうよ!」
しゃなな「じゃあやるか」
ヨランド「やった!」
しゃなな「……善き母だな」
ヨランド「笑」


27日マチネ【このあたりから登場時に拍手が起こるのが常になってくる】

(拍手してた時ヨランドがなんか言ってたけど聞き取れなかった 一度収まる拍手)
しゃなな「……(両手でもう一度拍手を促す)」
(会場拍手)
しゃなな「……(両手を握る)」
(すっと静かになる会場と嬉しそうな顔のしゃなな)
しゃなな「ふふふ」
ヨランド「もう入ってる?」
しゃなな「……ふふふふ」(そのままばっとポーズを付けて曲開始)

 

27日ソワレ
(最初の「何だこの格好は」が慌てる感じからうんざりした感じに変化し始めた)

ヨランド「(盛り上げて歓声も促す)」
しゃなな「(耳を澄ませるような仕草)」
(客席から大きな拍手と歓声)
しゃなな「……(手をすっと握る)」
(静まる客席)
しゃなな「(立ち位置に付きつつ)ふははは」
ヨランド「あっもう下りてる」
しゃなな「(確か手を顔の前にやってた)ふははははは……!(そのままばっと最初のポーズを決めて曲スタート)」


28日マチネ
(怪訝そうに「何なんだこれは」)

(ヨランドがいつものように拍手を促す)
しゃなな「……(片手を耳に添えて聞いてる仕草、もう片手で拍手を促す)(しばらくやってる)」
(会場から拍手と歓声)
しゃなな「(煽ってた手を握る)」
(会場静まる)
(笑う甲斐翔真←一瞬マジで甲斐翔真の顔)
しゃなな「よし、やろう」
ヨランド「ノリが良い笑」


29日マチネ
ヨランド「(いつもみたく煽りながら)この日を! ずっと! 待ってたわ!!」
しゃなな「……(手で煽る)」
(歓声と拍手)
しゃなな「(手を握る)」
(静かになる)
甲斐翔真「……(笑いながらサムズアップ)」
ヨランド「笑」
甲斐翔真「(笑いながらポーズ決めて瞬間に黒死病に)」

(名前の打ち間違いはしてない。)


29日ソワレ

(定番になってきた耳を澄ましながら煽るポーズ、からの手を握って客席を静かにさせる)
しゃなな「……ちゃんちゃらおかしい」
ヨランド「よく育った。」


30日マチネ(東京楽)【楽につきセリフからのロングverでお届けします】

(登場から大きな拍手、止むまでセリフ待ち)
ヨランド「みんな有難う^^」
しゃなな「何だこの格好は」
ヨランド「まあせっかくの昔語りですから、それにいくら無知なる王とて、この国に蔓延った疫病のことはご存知でしょう?」
しゃなな「また私に一役買えというのか!」
ヨランド「ええ、ここで断るほどつまらない男ではないでしょう?(客席に向かって)ねえ? ほらもう一度」
(会場拍手と歓声)
ヨランド「シャルルセッツ! シャルルセッツ!」
会場 \\シャルルセッツ!//
ヨランド「シャルルセッツ!」
会場 \\シャルルセッツ!//
ヨランド「できる子!」
会場\\できる子!//
(拍手と歓声)
しゃなな「……(手で静める)」
(静かになる会場)
しゃなな「……見納めとけ。」
ヨランド「笑」


東京楽にしてついに観客も声出しに乗れるようになった。

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大阪公演はさらにアドリブ細かく入るようになってた。


8日(大阪初日)

①拍手で迎えられ、ちらっと客席の方を観てライオンキングポーズをさらに決め直すしゃなな
(さらに拍手をもらう)
拍手が終わったところで「なんでやねん。」

②ヨランド「ここで断るほどつまらない男ではないでしょう? ……なんかやりたそうだし」

③拍手をもらって、手で盛り上げ、さらに耳をすませるポーズをして思う存分拍手と歓声を浴びたあとで両手を握って静めて一言
しゃなな「ありがとう。」(若干関西イントネーション)

④立ち位置に立ってからヨランドの方を見る
ヨランド「^^(サムズアップ)」


9日

①登場時拍手にライオンキングポーズを解く
しゃなな「まばらだな」
(確かにまばらだったので会場リベンジででっかい拍手)
しゃなな「(手を握って止める)「えーやん。」

②ヨランドが話してる最中に羽根をぶんぶん振るしゃなな

③ヨランド「断るほどつまらない男でもないでしょう? なあ!?」

④しゃなな(拍手と歓声をいつも通り盛り上げ静めて)「ほなやるか」
ヨランド「おおきに^^」


10日マチネ

①登場時ライオンキングポーズのまま右手をひらひらさせてさらに拍手しろと促すしゃなな
(会場大きな拍手)
ポーズ解いて第一声
しゃなな「どないやねん。」
ヨランド「ほしがりさんねえ」

②両腕をゆっくり上げて会場にさらなる拍手を促す黒死病くん(会場拍手)
→円を描くようにしながら手を握って止める
しゃなな「ふはは……ふはははは!」
(ヨランドがなんか言ってたけど聞き取れなかった、しゃななはそのままポーズ決めて開始)


10日ソワレ【ついに演出家公認になる】

①拍手が自然に止むのを待って
しゃなな「何さらしてけつかんねん!」
ヨランド「何をさせてるんだという意味だそうです」
しゃなな「スエミツケンイチという日本人に言えと言われた……」

②ヨランド「断るほどつまらない男ちゃうやろ!?」

③拍手が自然に止むのを待つしゃなな
甲斐翔真「言えてほっとした。」


11日(大千穐楽【本音が出る中の人】

①(最初から拍手と歓声があがるのを聞いてライオンキングポーズを整え直し、さらに盛り上がるのをしばらく聞いてからポーズを解くしゃなな)
甲斐翔真「……みんなそんなにこのシーン好き?」
(会場からまた拍手と歓声)
ヨランド「好っきゃねぇん」
甲斐翔真「いやもっとあるでしょ、別のシーン……」
(甲斐翔真がぶつぶつ言い続けるので「何だこれは」のセリフを待たずにヨランド「せっかくの昔語りですから~」と進行)

②「つまらない男ではないでしょう? ほら練習してたから一緒に、シャルルセッツ!」
会場 \\シャルルセッツ!//
ヨランド「シャルルセッツ!」
会場 \\シャルルセッツ!//
ヨランド「出来る子!」
会場 \\出来る子!//
ヨランド「かっこええ!」
会場 \\かっこええ!//
(ヨランド拍手煽り、会場拍手と歓声。盛り上げて静めるいつものしゃなな)
しゃなな「……好きやで」
(拍手と歓声の中しゃなながポーズを決めて曲入り)

 

好きじゃなかったらこんなに毎日まとめてません! ヨランドもしゃなな黒死病くんも楽しい時間をありがとうございました!!!!!
(なお後日対面イベントでシャルル7世の中の人に「楽しかったですか? 緊張しました?」と尋ねたところ、「緊張と言うよりネタがだんだんなくなってきて考えるのが……」とのことでした よくぞほぼかぶらずに完走しました本当に有難うございました!)

シャルル7世の中の人を推しとするオタクがとりとめもなく「イザボー」の感想を語ったらめちゃくちゃ長くなった記事。

ミュージカル「イザボー」に通い詰めた感想。東京公演が終わったので。そして明日から大阪公演が始まるこのタイミングで書き上がったので。
演出家の他作品は未履修。シャルル7世の中の人が推しなので基本そこを中心に観てた(のでそこが一番感想長いしそこら辺の話が他の方の感想にも絡んでくる)、そして全体的に概ね楽しんだ者の感想です。
ネタバレに全く配慮していませんので、大阪公演やブルーレイで新鮮な気持ちで観たい方はお気を付けください。

 

 


フランス革命時代のことは良く取り上げられるしたぶんマリー・アントワネットって日本で一番有名なフランス王妃だと思う。ミュージカルに限らずそこら辺を題材にした物語は山ほどあるので何となく知ってた。
けれど、百年戦争の時代まで遡るとそういえばジャンヌ・ダルクという少女のことは何だか知っているような気がするのだけど、彼女が助けたのに彼女を助けなかったシャルル7世という人物のことについては結局どうしてそうなってしまったんだろうとは思いつつ良く知らなかったしそれ以外の人物を知らないし、そもそも歴史において百年戦争なんて呼ばれるすさまじい戦乱の時代が何故フランスとイギリスの間にあったのか、何故ジャンヌ・ダルクという少女ひとりが出てきただけで事態が収束に向かい始めたのか、そもそも何故農村出身の平民の少女一人に国が縋らなければいけない状況に陥ったのか、そこを突き詰めようと思ったことはなかった。


ミュージカル「イザボー」の主役であるイザボー・ド・バヴィエールの物語は、ジャンヌ・ダルクが活躍した時代からすれば時代的にも成したことの内容としても前日譚と言ってもいい。(もっとも彼女はジャンヌよりも随分前に生まれたが、ジャンヌよりも後の時代まで生きている)ただしこの前日譚、現在残っている「史実」とされる人生を軽く予習しただけでも濃すぎて眩暈がした。そんな人を中心に据えた物語。余談だけど会場はブリリアホール、大阪はオリックス劇場。どちらも昨年の終わり頃まで「ジャンヌ・ダルク」の物語を上演していて、そちらは配信で観たけどイザボーという名前が何度も登場して非常に予習として有用だった。去年も思ったけど、何か同じ時代の舞台を立て続けにいろんなとこでやる時期ってあるのなんでなんだろう。参考になるけど。


「イザボー」は、世界初演の、日本発オリジナルミュージカル。
元気になる悲劇だということだったので、どういうこと? と思いながら観に行った。観て納得した。むしろ、これを「悲劇」と言ってしまってよいのか、そもそも悲劇ってなんだろうって考えた。

 

 

イザボーの息子であるシャルル7世の戴冠式直前から物語は始まる。彼は自分が即位することで自分が生まれる前から続いていた血塗られた戦いを終わらせ国に安定をもたらすことを誓いながらも、「最悪の王妃」と称されている女性イザボーの血を引いていることから、彼女のように国を破滅に導くのではないかと恐れていた。彼が「自分の唯一の善き母」として慕う養母ヨランドに、恐れとは無知から来るもの、あなたは彼女のことを知らなくてはいけないと諭され、知りたくもないと思っていた実母の生きた足跡を辿ることになる、という流れ。

 

時代は後に「百年戦争」と呼ばれるようになった、フランスとイングランドが終わりの見えない戦争をしていた時代(当時はその名がなかったため、登場人物は皆状況を「百年続くかのような戦争」と称しているのが個人的に観客への伝え方と当時の人々の目からの視点が良いバランスで詰まってる呼び方だなあと思って好き)。

国同士だけでなく、フランス国内でも様々な派閥が権力をめぐって争っていて、この物語もどちらかと言えばイングランドとの対立よりもフランス国内の対立の変遷とその中を生き抜いた時の王妃イザボーを中心に描かれる。有名なフランス革命の時代と違うのは、権力を持つ者の敵はあくまでも他の権力を持ちうる者であることで、民衆は酒場で王族の噂話に花を咲かせ批判の言葉を叫ぶけれど、それが何かの行動に結びつくことはない。まだ王族は絶対で、民衆が自分たちにも政治を動かす権利があると気づくにはまだ早かった時代。

 

……という、日本人には若干親しみの薄い時代の話を、こんなにパワーのあるミュージカルとして成立させたのはそれだけでもすごいと思う。知らないことがたくさんあったけど、要所要所で説明が入りながら話が進んでいくので、その説明が理解できればストーリーをかみ砕くのも然程難しくはない。その点でも狂言回しというよりも「観客と一緒に歴史を傍観する」立場のシャルル7世とそれを導く養母ヨランドの存在が非常に助かる。ただ、説明が早口な部分があるのと、私の知識のせいもあるだろうけど頭の中でぱっと文字に出来ない言葉もあって全てを1回で理解しきるのはだいぶ力がいると思うし、できればネット上で見られる程度の情報でいいからイザボーとシャルル7世、その周辺をさらっとでも予習しとくと飲み込みやすいかもしれない。(その点、歌詞が全てパンフレットに載ってる点は助かる。さすが国産ミュージカル、権利強い……)

 

 

タイトルロールであるイザボーを演じた望海風斗さんへの称賛は少し検索するだけでも大量に出てくるし私はそれにだいたい同意なのでそちらにお任せするとしてさらっとだけ書こうと思うんだけど、私はNext to Normal、ガイズ&ドールズ、ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル、そしてイザボーと、退団後の舞台でだけで彼女を拝見していた中で、なるほど確かにイザボーは今までの中で一番ハマってるなあと思った。茨の道を進み、「すべての栄華は私のもの」と言いながらもどうしようもない運命に時に絶望し、諦観し、けれど最後は力強く「これが自分である」と宣言する。その物語がただの悲劇にならなかったのはあまりにも望海さんが望むもののために突き進んだ「イザボー」としてそこに立っていたからかもしれない。

 

イザボーという女性については、彼女の物語をもし悲劇だというなら一番の原因は「彼女に与えられた立場と事前の知識があまりにもアンバランスだった」ということなのかもしれないと私は思う。
女性には大した教育が施されず、王妃は後継者を生み育て、王政の(文字通りの)象徴であることが求められた時代、国王が狂気にさえ落ちなければ(その是非はともかくとして)おそらくその型通りの人生を歩めていたはずの女性のように受け取った。初めてフランスに連れてこられた時に「政略結婚」という言葉すらも知らない様子で初々しく振る舞っていたことや、「この世界の誰より幸せになることを夢見ていた、花や鳥たちにも聞かせていたわ」と歌う様は、まさしくひと昔前の「プリンセス」そのものだったから。彼女は自分の道の切り拓き方を自分で考えていることから知恵がなかったわけではなく、ただ知識を得る機会には恵まれずに、それ故自分を守るべき国王が盾とならなくなった時、代わりに自分が愛する国王や国や子供たち、そして自分自身を「自分なりに」守るための手札は(言い方に難はあるが)自分で産み落とすか、周りの男たちから奪い取るしかなかった。
それでも、彼女は手の中におさめた手札全てを使い切って、人生を生き切った。何を言われようとも生きると突き進んだ彼女の姿は、望海さんの強さと絶望を同時に表現できる振り幅、そして説得力のある演じる姿があってこそのものだった。

 


この物語をはじめるきっかけになり、一番観客に近い視点でこの物語をある意味傍観する、甲斐翔真さん演じるシャルル7世の立ち位置がすごいと思う。物語は「彼が知らなかった実母の物語」を知ろうとするところから始まるが、物語が進むにつれて彼もその中で生を受ける時代を迎え、やがてその物語の中に組み込まれつつも一方で傍観者であることを続ける。彼もこの時代の人間であり、価値観は(多少現代の人間に寄せているところはあるにせよ)他の登場人物とそう変わるものではなく、600年前の価値観は現代とあまりにもかけ離れていることが当然とされているところもある。けれどシャルル7世はあくまで「観客と同じ目線から」物語を観なければいけない。そのバランスがとてもいい。

 

劇中で、シャルル7世がその時代にあった出来事について目の当たりにしたその場で感想を述べるのは2回(自分がその時どう思っていたかの話や、実際に体験したことを語っている時のことは除く)。語ると長くなるので詳細は省くけれど、この2つのシーンにおけるシャルル7世の意見は概ね観客と同調するものだと思うし、当時の価値観やシャルル7世自身の考え方から見ても矛盾はなさそうだと感じる。また一度だけ、彼自身が非情な決断をするシーンもあるが、その際完全に彼は舞台の場面の登場人物として動いているので、当時のあの立場ならそういうこともあるよね、という感覚で見られる。

 

一方で、おそらく彼が傍観しながら観客と異なる印象を受けたであろうシーンでは「沈黙を保つ」ことで観客との意識の剥離を避けている。

 

なんせ私は中の人が推しなので彼が直接喋らない、暗転の中にいるようなシーンの行動も逐一観ていたオタクなのだけれど、彼はそういった通常自分が注目されないであろうシーンでもきちんとシャルル7世として行動している(たぶん舞台上にいる皆さんがそうだと思うのだけれど)。
責められつつ、私はただ(身近なものを)愛そうとしただけよ、と叫びながら去っていくイザボーを見送る目はそれまでに抱いていた最悪の王妃という母のイメージを覆され戸惑っていたし、ルイの妻ヴァレンチーナの非業の死を聞かされた時には驚いたような素振りを見せていた。身籠った子供(=シャルル7世)に対してのイザボーの言葉に静かに一喜一憂する表情も、袖から登場して来る際、ヨランドに「シャルルは敵だ」と告げるイザボーの言葉を聞いてしまって思わず足を止めるのも切ない。ヨランドがイザボーに自分とヨランドの娘を婚約させ(そして引き取)る話をしている時にも、結果はわかっているのにどこか自分を見捨てないでほしいというようにイザボーを見上げるその目も。(ついでにその直後の曲で、作中一番感情爆発させてたのがものすごく良かった)

 

一方、「女というものの価値」を説かれ続けるイザボーの、彼女に浴びさせられる言葉は現代から見れば耐え難いものばかりなのだけれど、その様子を見ているシャルル7世は表情ひとつ変えない。現代の価値観がどうであれ、その時代はそれが「普通」の価値観であり、おそらくシャルル7世もそれに疑問は抱いていなかっただろう。ただそれを強く表現してしまえば観客との剥離が生まれて、舞台と客を繋ぐ役割が揺らいでしまう。それをうまい具合に「曖昧にする」ことで、観客との距離を想定以上に引き離さず、同時にその時代に存在する人間であることにも説得力を失わせない表現が素晴らしかったなあと思う。

 

現実と回想を行き来し、時に自分で解説しながらその時代に降りていくこともある役柄はとても難しいだろうしともすればこちらも混乱しがちだろうけれど、それがきっちり分けて表現されていたと思うし、同時に最初は不安げに玉座に座り、「今更あの女のことなど知りたくもない」と言っていた彼が、その足跡を辿るにつれて最終的に自発的にイザボーの考えを知ろうとするところまでたどり着き、堂々とした姿で戴冠式に臨むのが頼もしい。最後のシーンはきっと史実ではないが、忌み嫌っていた血もまた自分の一部であり、決して汚らわしいものではなかったと受け入れて前に進む覚悟を見せてもらった。幕切れの瞬間、おそらくだいたいの人がイザボーに視線を奪われている中で、舞台の端で一人空の向こうを見上げるようにするシャルル7世の姿が好きだ。角度がちょうど去年のムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカルで最後に彼が演じるクリスチャンが笑顔を見せていた時のものとだいたい同じで、つまり決して母とは呼べなかった、しかし確かに一緒に戦っていた今は亡き一人の女性のことを思いだして、誰にも知られないように敬意を表している気がして。

あ、兼役(と言っていいものか)めちゃくちゃ好きでしたしアドリブが日々洗練されていくのが「新しいスキル取得したね……」という感じであのシーンにめちゃくちゃお礼言いたいです(誰目線)あの曲いつか個人イベントで歌ってくれ。

 


そのシャルル7世の父であり、イザボーの夫、上原理生さん演じる狂気王シャルル6世。(余談かつ個人的な話ですが今回推しと共演したことある方がプリンシパルに多くて、安心してチケットが取れました……もちろん新しい方との共演も化学反応が楽しみなんだけど、世界初演のミュージカルで強力な安心材料があったのはものすごい良かった……)


上原シャルルは出てきた時にはもう既に狂気の中で、正気の芝居より狂気の芝居の方が多いというすさまじい役なんですけど、いやもう……すごい……狂気の中にいるのにちゃんとめちゃくちゃ歌い上げている……でも狂気の中にいる……表現力すごすぎる……
最初に狂気に落ちた時に見せる顔が怖すぎて怖いもの見たさで双眼鏡覗いてました。本当にすごかった。

 

狂気王と呼ばれる前、親愛王と呼ばれていたシャルル6世。その史実だけでもきっと根は優しい人だったのだろうなというのが想像できて、それはだからこそ壊れていく自分を恐れてイザボーに縋り、結果としてそれがイザボーを変貌させていくその流れが切なかった。最後のイザボーとの対話は夢の中だけれど(ところで私はあれはイザボーの夢だと思っているのですが実際はどちらの夢なんだろう)本当にそうだったらいいのに、と願わずにはいられなかった。少なくともイザボーはそうだったでしょうから。それにしてもその前の場面の、精気が抜け落ちて最早廃人同然の顔も静かなのに迫力があって、本当に狂気王、すごかった……

 

数少ない「親愛王」の姿をしている二幕最初のシーンが愛おしすぎてたまらなかったのですが、それにしても息子が日を追うごとに「役のままアドリブのセリフを吐く」スキルを身につけていく一方で父が日を追うごとに自由になっていくのがめちゃくちゃ面白かったですwww あの勢いで大阪も駆け上がっていくのですか親愛王よ。
あと第一幕の最後、父と息子の動きがあまりにも同じでこれで血が繋がってない可能性とか論じる??? と思ってました。振り付けが偉すぎる。

 


ブルゴーニュ公ジャン、中河内雅貴さん。無怖公と呼ばれていたジャンですが、その称号の通り、特に二幕に入ってからの剣幕がすごくて震えた。一方父親の傍に常に控えている一幕(この父子普通にめっちゃ仲よさそうでいい、密かなる癒し)ではわざと抑え目な感じで、それが二幕の変貌を際立たせた。父親が亡くなった時に「イザボーとルイに対する楔がなくなった」というようなことを言っていたが、本当に楔を抜かれたのはジャンだったのではなかろうか。
一方で、ただの「恐れ知らず」ではない人間臭さもあって良かった。両側から槍でどん! と大きな音を出された時にいちいちびくついてたの可愛かったし、婚礼パーティーで無表情にばりばり踊ってたのめちゃくちゃ可愛かったし、そして最後、絶望的な状況に陥った時に出た言葉と行動が「どけ!」と必死に逃げようとすること。おそらく閉鎖空間で、逃げようとも逃げられるはずがなかったのに。人間臭さ、泥臭さという点では、彼が一番だったかもしれない。その二面性がとても好きでした。イザボーが「あなたは政治家としては優秀」と言っていたし、民衆の気持ちを誘導することにはものすごく長けていたけれど、言われていたほど怖いもの知らずではなかったのかもしれない。彼もまた、必死に生きようとする中で時代の波に呑まれてしまった一人なのかもしれないと考えさせられるキャラクターでした。

 

中河内さんを拝見するのは3作目なんですけど(クラウディア、MR!、この作品)毎回(確か毎回)ばりばり踊るシーンがあって楽しー!!! 弁明シーンはめちゃくちゃ楽しくて罪悪感と拍手の間で揺れ動きました。私は無条件にシャルル7世の味方だったので(……)途中の公演から手拍子しなかったんですけど、あのシーンは普通に手拍子した方が楽しいし、後で「民衆はこうやって扇動されるんだな……」っていうのを身をもって知れてずーんと来るのでよいと思います。

 


オルレアン公ルイの上川一哉さん、MR!のロートレックがとても好きだったので今度はどんな感じなんだろうと思ってたら超イケメン! 軽いけど!←
ロートレックの自分の気持ちを押し込めて一歩身を引いてサティーンとクリスチャンを見守る姿、そしてサティーンに最大の敬意を持ち続ける複雑かつ温かい姿が好きだったのですが、今回は軽く振る舞いながらも腹の中にいろいろなものを押し込めているやっぱり複雑な人だった。あと一歩のところで欲しいものは全て手に入らず、でもその不平を口にすることもできない程度には地位がある人物。彼の行動は欲しいものを奪っていったけれど嫌いになれない兄への当てつけであり、当てつけの末にまた自分の中の純粋な気持ちに気づいて自己嫌悪に陥る、考えれば考えるほど苦しい立場。この舞台、一見王位を望んでいそうでもない人ばかりが王位について、王位を強く欲しがる人は望んだ権力によってそれで破滅していくんだよなあ。望みすぎたばかりに生まれた人の業に潰される、自業自得というやつなのか。

 

それでも、王族である誇りと度胸は最期の時まで持っている人だったと思う。
前述のジャンが最期に(逃げられない場所にいるのに)ぎりぎりまで抵抗したのに対して、ルイは最期に逃げられないとわかった瞬間から勝ち目もないのに戦うことで抵抗し、誰が自分を葬ろうとしているのかを確認し、それを仕組んだものに捨て台詞を言い残してこの世を去った。一方で、複雑な胸の内は最期まで誰にも吐き出すことがなく、彼もまた(自分の行動の結果とは言え)ある種の汚名を背負ったまま言い訳せずいなくなった。彼は彼で、芯を一本持っていて、正統に玉座を継いでいたのならもしかしたら善き王になっていたのかもしれない。

 

それにしてもロートレックの時には見られなかった身体能力が存分に観られてめちゃくちゃ釘付けになったし、とんでもない難曲を全く外すことなく歌い続ける実力にさすが……と感服した。パンフレットに載っていたカットされてしまった楽曲、確かにあのシーンで歌うよりはセリフでまとめてくれた方がすっきりしたなと想像だけでも思うのだけれど、それはそれとしてどんな歌だったのか聞いてみたかったなあ。

 


シャルル7世を導くもう一人のストーリーテラー、彼が「善き母」と呼ぶ養母であり義母であるヨランド・ダラゴン。演じるのは那須凛さんというミュージカル初挑戦の方(もっとも、劇団に所属していて舞台の経験はだいぶあるお方らしい)、プリンシパルの中で私が唯一舞台で初見だった方。(なおこのキャスト発表があった時私はちょうど「らんまん」にハマっていて、思わず出てるらしい場面を見返したんだが、結局どの方なのかイマイチよくわからなくて本当に初見状態でしたすみません←)
たぶん客席で観劇した方のほとんどが思ったと思うんだけど、「いやミュージカル初めてとかマジか」でした。もちろん舞台のノウハウはあり立ち居振る舞いについてはしっかりと身についてる方だからこそなんだろうけれど、初ミュージカルで? あの望海風斗と? 対等にしっかりハモる? どういうこと??? なんで今までミュージカルにいなかったの?????
役柄としてはもちろん、シャルル7世とのアドリブシーンなども彼女がそこにいたからこそ成り立ったものだと思う。すごい。ここで出会えてよかったしまたほかのところでもお目にかかりたい。

 

ヨランドは「善き母」と何度もシャルル7世に言われ、実際11歳で引き取られた彼があんなにも素直に育っているのだから、善き母であることに疑いはないのだけれど(とあるシーンで座り込んだまま立てなくなってしまったシャルル7世に、「少し休みますか?」と声をかけながら背中や肩をさすってあげる仕草が途中から入るようになって、本当に善き母やん……と思えてそのシーンが大好きだった)、一方彼女は策略家で、その知恵で強かに地位を固めていく。シャルル7世も彼女のもとで育ち、彼女に教育を施されたからこそ、(舞台上では描かれないけれど)戴冠後の親政がうまくいったのだろうなと思わせる力すらある。彼女自身が冒頭で口にするようにイザボーとヨランドはまるで正反対で、イザボーが衝動のままに突き進んだ女性なら、ヨランドは理性の元に強かに足場を固め歩んだ女性。この舞台のプリンシパルキャストに女性はふたりしかいないのだけれど、そのバランスが当時強くあった性別による扱いの差を語っているのと同時に、タイトルロールであるイザボーと対角線という同じ線の反対側にいる女性ヨランドという関係性がくっきりと見えた気がする。同時に、ヨランドがしきりにシャルル7世に対して「イザボーという生みの親の真実の姿を伝えようとする」姿、中盤にもう一度シャルル7世に対する「お母様を愛していた?」に、単なる策略家ではない、愛情深い一人の「善き人」としての姿も観られてよかった。この舞台、一見どろどろとしてそうだけど、「悪人」はただの一人も出てこないのがいいなあと思う。皆、自分の人生を精一杯生きた結果の姿なのだ。

 


そう考えると、一番「悪人」としての一面を見せるのは、石井一孝さん演じるブルゴーニュ公フィリップだろうか。もちろんこう言ってしまうのにも語弊はある。
後にイザボーとなる少女をフランス王妃に据えた張本人であり、国王が狂った際には真っ先に「これで自分たちの意のままになる」と笑った「豪胆公」。でも、野心は確かに黒いものではあったけれど、端々に見える姿に「権威を欲しがるもの」という姿だけではないバランスが見えて良かった。「国とは民あってのもの」と言い切るその姿は、権威を手にする責任についてもしっかりと自覚していたのだろうと思えた。まあ、王が狂気に落ちたことを喜ぶさまや「王位だけが権力ではない」という姿にはしっかり腹黒いところが見えていたけれど。あとめっちゃ曲がロックで好きでした。ブルゴーニュ公親子、なかなかにロック。ふたりでライブ開催したら行くわ。

 

史実とは違っているのだけれど、シャルル7世の兼役とフィリップが絡むシーンが、少しばかりコミカルに始まった二幕の空気を一変させていく。シャルル7世にとってブルゴーニュ公の親子はおそらく政敵でしかなかったのだけれど、彼がいる場でジャンが抹殺されるのは史実であるからいいとして、シャルル7世、の姿をした何か、に、フィリップがこの世との別れを定められるのも何だか良い。例えシャルル7世が生まれた時にはフィリップはこの世に居なかったとしても。

 


プリンシパルの方の感想を書くだけでもこんなに長くなってしまったのだけれど笑 アンサンブルの方々もとても良い。開演前から登場して客席を十分に温めてくれたところでそのまま物語に吸い込まれていく感覚は(おそらく好き嫌いはあるとは思うが)とても私は好きだった(通路に近い席の時演者さんがオフマイクで声かけてくれるのも嬉しかった)し、とにかく皆さんのダンスや歌が素晴らしくて、再演やるとしてもマジで大変だな……とは思った。出来ちゃうと信じてるけど。


若き日のイザボーであるイザベルを演じた大森未来衣さんが、イザボーの娘を演じるところまではよくある兼役だと思うのだけれど、ジャンヌとして現れるのは演出すごい……と思った。あの兼役の意味をどう考えるのかは人それぞれだと思うのでこの感想は単なる私の性癖暴露になるんだけど(……)ジャンヌという存在はイザボーと同じく衝動のままに突き進んだ人で、しかし彼女は後に聖人となり、イザボーは最悪の王妃という汚名をまとった。立場の違いやその無鉄砲さを支持してくれる者がいたかどうか、その紙一重で人生はこんなにも変わってしまったんだというところを見せられた気がした。使命を背負い短い生涯を駆け抜けて今なお語り継がれる聖女ジャンヌと、汚名を背負いながら彼女が愛したフランスと国王である息子が二大派閥の和解によって平和への道を切り拓く可能性を見出したところまでを見届けてこの世を去ったイザボー、どちらが幸せだったのかについては、論じることではないとは思うけれど。

 

そう、御託はいいのだ。イザボーの人生が幸せであったかどうかなんて、私たちが決めることではない。ただ確かなのは、「彼女は生き抜いた」ということであって、それが幸せだったのかなんて、私達にはたぶん論じる権利はないんだろう。

 


おおまかなセットはただの一回も変わらず(後ろで幕が上がったり下がったり、テーブルや玉座が出入りしたり、と言ったことはあるにせよ)、三重構造の回廊と階段を模したような円形の装置が回転することによって場面転換が行われる。それを動かしているのは人力。とんでもないセットだった。決して煌びやかでも派手でもないのに、その場その場で場所の情景が見えてくる。日本発のミュージカル!と銘打ってるからには輸出も考えられているのかもしれないけれど、(舞台美術とか詳しくないんでとんちんかんなこと言ってたらごめんなさいですが)確かに人力のセットであればそのセットを置く場所さえあれば舞台の機械的な機構がどうであるかなどはおそらく問題にならないし、上演できる可能性がある場所が多いということはそれだけチャンスもあるということで、もし本当にそこまで考えられているのであればすごいな!と思った。取り敢えずぐるぐるまわるセットのその中で、その上で、演技が続くのがとても格好いい。
音楽もめちゃくちゃ難しいだろうな……と思いつつめちゃくちゃ耳に残るものばかり。若干詰め込んでて早口なところがあるので頭をフル回転させなければいけないんだけれど、皆さんめちゃくちゃブリリアホールに勝てる方々なので、セリフも含めて聞き取りやすい(さすがにアンサンブルさんたちが全員で歌うコーラスとかは声が混ざって聞き取れなかったりしたけど……)

スマホなどの電源は切るようにという諸注意で)このヴァロワ朝にそんなものはなーい!という前説から始まるにもかかわらず、蓋を開けてみればそんな曲このヴァロワ朝にはねえだろ!とツッコミまくりたくなる曲の数々で、だけどそれがめちゃくちゃ格好良くて癖になる。ヴァロワ朝にはないと言えば、前述の大森未来衣さんがアンサンブルに混ざっている時、「乱痴気騒ぎ」というフレーズに合わせてDJの動きをしてるのに笑ってしまった。DJもその時代にはないだろ(可愛かったです。)

 

重厚だけれど、遊び心もあって、悲劇と言えば悲劇なんだけど確かに生き抜いた一人の女性の、エールを勝手にこっちがもらってしまえるような力強い物語。
世界初演な故に少し粗削りな所や、これはいらなかったんじゃ……? というようなシーン、あるいは若干の矛盾点が気になったのだけれど、それはこれからまた軌道修正されていけばいいだけの話。あとはそれこそ「ヴァロワ朝にこんな○○はなーい!」って要素がちょいちょいあって(こんな後ろで申し訳ないですがあれ叫んでたお姉さんめちゃくちゃ好きでしたしなーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!ってところで既に拍手を送りたかった)、そこが受け入れられるかによっても楽しめるかどうかは違ってくると思う。個人的には突然のトンデモ設定を持ち込まれたりつまらないアドリブシーンを持ってこられるとその時点で醒めてしまうタイプなのだけど、一つ間違えばそうなり得るシーンがあったにもかかわらずそうはならず全体的にめちゃくちゃ楽しめたので、レベルはものすごく高かったんだろうなあ、とは思う。


東京公演は終わってしまったけれど大阪公演は11日までやっているし、ブルーレイとDVDが出ることも既に決定している。円盤なら豪華版を買ってもチケットS席1回分より安いし、気になってる方は買ってもいいんじゃないかな、と思う。素晴らしい世界初演に立ち会えて本当に良かったし、何より日本発で権利を持っているところがパンフレット、複数回の配信、初日に既に映像化が決定しているという強い布陣の元になってて本当に嬉しいし、こういう感じで日本発の良いミュージカルがどんどん出来ていけばいいね、と思った演目でした。明日から大阪公演行ってきます笑

3月中に観に行ったミュージカルについて感想を一気に書きたい

4月も終わりに近づいていますが、3月とは打って変わって落ち着いた空気はいかがでしょうかミュージカルファンの皆さま。なお私は関東在住なので、今忙しいんだよ! という関西の皆さまやその他の地方の皆様、あとマチルダとかで忙しいんだよ! という皆様には私基準の問いかけで申し訳ないです。(ちなみにマチルダは個人的にどうしても苦手な要素があって舞台上を観ていられないシーンがあることが想像に難くなかったので観劇をパスしました。評判はいいらしいのでいつかその要素が消えるか私が大丈夫になるか推しが出たら(最後は荒療治)再演観たいです。)

 

いやー3月ヤバかったですね! スケジュールが!
ばったばったしすぎて床で寝落ちすることもしばしばでろくに感想呟けてなかったんですがまあまたそれが揃いも揃ってほぼ観てよかったー! だったので、個人的に落ち着いた今感想を一気に書きたいと思います。完全に自分向けの記録ですが、もしご興味あれば暇つぶしにどうぞ。もうすぐゴールデンウィークだし。(誰だよ休み取れば9連休って言ってるやつ)

 


注意事項。
・長いです。
・読みにくかったらすみません。私の文章力不足です。
・全てにおいてネタバレに全く配慮していません。これからまっさらな状態で地方公演を観る予定の方などはお気をつけください。
・個人の感想です。解釈違いがあっても私の感想なのでそこは仕方ない。諦めてくれ。

 


なお目次。この作品だけ読みたい、ってものがある場合はリンクで飛べます。(ただしここに戻ってくる時はお手数ですがスクロールで戻ってきてください)

 

1:RENT
2:ジキル&ハイド
3:ライオン・キング
4:マリー・キュリー
5:SPY×FAMILY
6:太平洋序曲(←これだけほぼマイナスの感想しかない 気をつけて)
7:ジェーン・エア(配信)

観た順(複数回観たものはMy初日基準)です。一部首傾げるものも入ってると思いますがそれは後で説明するのでとりあえず流して。

 



1:RENT

皆さんは何のせいで3月忙しかったですか? 私は8割方これです。理由は単純、推しが出てたので。3月のスケジュールはRENTの合間の空いてる時間に他の予定を詰め込んでるようなものでした。最初に見たのが2020年の秋、それが途中で中止になってしまってからずっとずっと待ってた再演でした。
推しの甲斐翔真くんを観る、を前提にスケジュールを組んだので古屋さんのロジャーのみ1回の観劇でしたが、通いまくったので古屋ロジャーまわり以外のだいたいの組み合わせは観たと思います笑

 

RENTやっぱ面白いですね!
私は推しがミュージカルに出るようになったと同時にミュージカルにハマったので、2020年のRENTを観た時は私もミュオタ初心者だったし、推しもミュージカル俳優1年目だったし、他のキャストさんもRENT初めて! とか役替わりしました! とかの方が多かったので、今こうして中止になることなく最後まで続いた公演を思い返していると2020年もちゃんと続いてたらもっともっとパワーアップしたり私の理解も深まったりしたのかなあと思いつつ。(いや2020の時点で十分良かったんですが)

 

多少の入れ替え、役替えがあったものの、概ね2020年のキャストが集結した2023年春。その2年半で、舞台の上で、他の様々な場所で経験を積んで、何よりこの世界を2年半生き抜いてきたキャストさんたちは、いっそ「凄みに溢れてる」という表現がふさわしくて、また2020年にはこれどういう意味だったんだろうと謎のままだった場所も役者さんの表現力がアップしたおかげでめちゃくちゃ納得がいって、本当に最高の公演を観たな、という気持ちでした。

 

マークのふたりの違いが良いんですよこの座組。
平間さんのマークは最初から「傍観者」であることを自覚していて、そんな立ち位置でカメラを回している。対する花村さんのマークは仲間に入ることの手段がカメラを回すことで、レンズを通してその仲間の中に入っている「気分になっている」。だから少しずつ少しずつ、言葉のニュアンスも変わってくるんですよね。Wキャストってだいたいそうだと思うんですけれど。
二幕中盤、彼がひとりで歌う「どうして僕は傍観者なのか フィルムの中に僕はいない」って歌詞があるんですが、平間さんマークのその言葉には「今までずっと傍観者であったことへの後悔」が、花村さんマークのその言葉には「仲間に入ってるつもりでいたけれど、いつも外からそれを眺めているだけだった自分の孤独に気づく瞬間」が、それぞれ含まれているような感じがして。


その後仲間がばらばらになってルームメイトであるロジャーとも言い争いの末喧嘩別れするシーンがあるんですけど、平間さんマークは少しお節介な世話焼きである故にその一言がロジャーの神経を逆なでしてしまって本格的な言い争いになってしまって最後は仲たがいのまま一旦別れてしまう。対する花村さんマークは自分は孤独なんだという悲しい気持ちのままでロジャーと言い争うからロジャーの感情の吐露であると同時にマークの感情の吐露のシーンになるし、ロジャーの「かわいそうな奴」もどこか平間さんマークに対するよりも哀れみが籠っているし、言い争いをして仲たがいをしても優しい花村さんマークは「電話する」というロジャーの言葉に手を上げることで答えてあげる。
次があったら是非比べて見てくださいって言いたいんですけどこのふたりたぶんもう次回はいないから映像を見せてくれー!!! って気になってしまいます(平間さんはSNSで「RENTの旅が終わりであること」を明言、花村さんはまた聞きですが東京楽の挨拶で「苦しい役でまた引き受けるのを迷ったけど、とにかくこのメンバーとSoLを歌いたいから戻ってきた」と発言しています)

 

本当全員の話をしたいんですけどあまりに長くなるのであと推しの話をします。(……)
そもそも2020年にRENTを観に行ったのは甲斐翔真くんがロジャーをやるから、でした。なので初RENTが2020年です。今でも初日にロジャーがフードを取った瞬間「金髪 に なってる!?」で意味の分からない衝撃を受けてRENT聴いてる間中ずっと泣いてたのは忘れられません。金髪最高でしたが隣の人には相当のレントヘッズだと勘違いされたかもしれません。
ちなみに堂珍さんのロジャーは観るはずだった公演が中止になってしまい観られませんでした。そう、半分も行かないうちにその後の全公演が中止になってしまったのが、2020年のRENTでした。

 

で、満を持しての再演。2020年直後のZoomでの演出家のオンラインセミナーみたいなので「また出てくれるかは彼ら次第だから」みたいなことを言っていたので強い期待はしないで待っていましたが、ほとんどのキャストさんがもう一度やることを選択してくれて(もちろん出演されなかった方の選択も尊重します)、推しももう一度ロジャーをやることを選択してくれて、本当に嬉しくて、楽しみでなりませんでした。
が、ロジャーのこと、2020年ではあまりわからなかったんですよね。「行動になんか一貫性がないなあ、格好いいけど」くらいな感じでした。

 

2023年の甲斐ロジャーは、本人がファンミーティングで「感情を一つ一つ大事にするようにしてる」とお話ししてくれましたけど、本当にそんなロジャーで、行動の全てがひとつの線でつながった感動がありました。
恋人だったエイプリルを喪った過去、手にイニシャルを彫るほど愛していた人の突然の死をおそらく第一発見者として目撃して、それと同時に自分の命の期限も差し迫っていることを知ってしまって。
だから人は愛せないけどせめて一曲生きた証として残したいともがいていたら、ミミという女性が現れて、いろいろな偶然が重なって愛し合えるようになって、でも彼女があまりに早く弱っていくことにエイプリルを重ねてしまってもがいているところへ友人のエンジェルがいなくなってしまって。
Goodbye Loveのロジャーは自分勝手に喚き散らしている印象が強いですが、ここまでの積み重ねがあって、あまりにもトラウマが強すぎてコントロールが自分でも効かない結果なんだな、と納得できたのは、2023年の彼の表現があったからです。

 

甲斐ロジャーはあまりにも表情が弱々しくて繊細で、強がっているところですら泣き声になっていたりして、本当に「もがいている」印象が強いロジャーでした。RENTの物語は彼を中心に動いていくわけですけれど、彼の感情が表情や仕草や声色でめちゃくちゃ出てるのでもう物語がぐるんぐるん引っ掻き回されるんですよ彼のパワーで。そのくせ最後は元鞘だからずるいよなロジャー!←
でも、正直最後で何でミミは生き返るんだろう、というのに20年は明確な自分なりの理由がつけられないまま終わってしまったんですけれど、23年はここまでロジャーがもがいてミミを思い続けて最後はそれを素直に出せたなら、エンジェルも助けてくれるだろうな、とすんなり思うことが出来ました。

 

きっと次に再演することがあったらキャストががらっと変わる気がするので、この2023年のファミリーを観られたことはとても幸運だったし、その記憶をもって次の公演を楽しみに出来るのもとても素敵なことだなと思います。

 

1回しか観てないけど古屋ロジャーはまっすぐで自暴自棄とやさしさの間で揺れてて魅力的だったし、
遥海ミミはパワフルなのにだからこそ2幕中盤からの弱っていく悲しさが際立っていたし、アリサミミはどこか悲しみを背負ってるように見える儚げででも強く立ってる魅力的なミミだったし、
加藤コリンズの安定感と言ったらそこにいるだけできっとルームメイトだった時もムードメーカーだったんだろうなって思えたし、ソニコリンズ最初はセリフちょっと言いにくそうな部分があったけど後半になるにつれてもうエンジェルを喪った時の哀しみとその後のそれでも生きようとする優しさがめちゃくちゃ素敵になって行ったし、
百名エンジェルキュートでダンスうまくて本当エンジェルやってくれてありがとうだし、RIOSKEエンジェルもう安定すぎるし綺麗すぎるしところどころで見せる色気やお茶目さがもうカンストしてたし、
えみこモーリーンもうモーリーンだなあ!って感じでハマってたし、りなモーリーンロングトーンは美しいのにその直後のパフォーマンスのギャップとかそりゃみんなに可愛いって言われちゃうモーリーンだよなだったし、
モーリーンに振り回されながらも自分を見失わない塚本ジョアンヌめちゃくちゃ格好良かったし(余談だけどタンゴモーリーンで電話が鳴った時のマークを制する声がめっちゃアメリカンで好きだった)、吉田ベニーいい奴すぎる上に歌が素敵だしあと言ってることが一番マトモ過ぎる上に行動がそれに見合ってて全く憎めなかったし(でもミミにちょっかい出すのといらないっつってた家賃いきなり請求するのどうかと思うよ!)、
吉田さんのSoLのフェイクが20年に続けて聞けて本当に幸せだったうえにもうすごすぎて毎回鳥肌ものだったし、長谷川さんの優しげなライフサポートの人とカフェでロジャーと仲良く拳ぶつけ合うシーン最高だったし、小熊さんのチャーミングなマークママとやさぐれたようなコート売りのギャップすごかったし、
チャンヘさんの怪しげな薬売りの演技がもうなんか好きで釘付けだったし、Zineeさんのアレクシー可愛すぎて憎めなかったし、ロビンソンさんのゴードンで寂しそうにした後のホームレスの「真面目に生きてる!」の落差すごかったし、

 

本当愛してるよ2023RENTファミリー。その器を作ってくれた2020RENTファミリーも。愛知の前楽でRENT聞きながら本当に推しの大千穐楽がようやく始まった感慨でぐちゃぐちゃに泣いてる私がいたんですけど、まあ結局2020年の初日と同じ状態だったってことなので、なんか綺麗にまとまった感じでしたね。

 

あと個人的にはまたWhat You Ownのセットぐるぐるするのが観られてめちゃくちゃ幸せでした(動き的にものすごく好きなシーン その後マークとロジャーがはしご越しに一瞬目を合わせて笑うのもめちゃくちゃ良かった)

 



2:ジキル&ハイド

推しがいつかやりたい! と豪語して憚らない作品。なので一度観てみたいとは思っていたんですが、発表されたキャストが大優勝過ぎて結局3回観ました。なお4回観てジキルとルーシーの組合せを制覇する予定だったんですが、石丸×真彩回だけ推しのイベントと取った日時がかぶってしまいチケットを手放すことに。それに伴いその1回だけの予定だった桜井エマも観られていません。(違うんです回数を絞ったんじゃなくてジキル×ルーシーの組合せと日付優先したらそういう配分になってしまって桜井エマはこの1回でじっくり観る! って思っていた回……だった……)分裂したかった……

 

面白かった! ルーシーがあれになっちゃうシーンはリアルすぎてびっくりしたけど!!!←
そりゃやりたいってなるよな! っていうジキル役の面白さ! 演じる方は大変だろうけど楽しいだろうなあ、と思いながら(上から目線ですみませ……)観ていました。石丸ジキルはさすがの一言だったし、柿澤ジキルはちょっとした笑いもあってとても良い。そしてお二方ともハイドになった時のギャップよ。

 

個人的にはルーシーがどちらも優勝過ぎて、あとエマも好きすぎてあとあの舞台セットも好きすぎたのでうっかり何も買わない予定だったのにルーシーとエマの舞台写真セットを買いました。後悔はしてない。
笹本ルーシーはもしかしたらこの人もっと上の階級にいたことがあるんじゃないかな……? と思わせるようなルーシー。気高さは失ってないんだけど、今いる場所からは逃れる術はもうなくてどこか達観か諦観がある感じ。だからこそ新しい生活ができるかもしれない(=昔のように戻れるかもしれない)という目の輝きと、それを踏みにじられた時の一瞬の絶望が悲しすぎる。ハイドの顔を観ながら事切れた時、彼女は何を思っていたんだろう。
真彩ルーシーは、たぶん昔からずっとこういうスラムのような場所にいて、そのままどん底にたどり着いたんだろうな、というような印象を受けるルーシー。真彩さんのイメージから娼婦……? と思ってたんだけど、見事にルーシーだった。足を開いて座る仕草は家庭で教わるような躾を一切受けてないんだろうな、という過去を想像させるし、ジキルからの手紙を読む時に少し読み方がたどたどしくなるのも、十分に教育を受けられなくて、文字は一応読める程度なんだな、と思わせる。だから新しい生活ができるかもしれない(=とにかくこの酷い場所から抜けて、別のどこか素敵な新しい世界に行けるのかもしれない)という希望と不安と、それを踏みにじられた時の茫然とした表情が悲しい。一度でも、彼女が幸せだった時はあったんだろうか。

 

エマは前述の理由でDream Amiさんしか観てないんですけれど、1回目見終えてからえっミュージカル初めて……? というのを知って驚いたくらいに素晴らしかった。強気で、賢いけど、世間知らずで、背伸びもたぶんしてるんだなあ、と思わせるエマ。声もとても素敵。あと恋人に長いこと会えなくてさすがにちょっと不貞腐れる様がチャーミング。最後は聖母のようで、めちゃくちゃ素敵でした。またどこかの舞台でお会いしたいなあ。

 

また舞台のセットがすごかった。回廊のような二階が張り巡らされていて、その中心ではジキルの自室が出てきたり、応接間なのかな? が出てきたり、あるいはエマの家、街中、どれも本当に豪華。厨二病が未だに治ってないとこがあるのでジキルの自室のセットには大興奮しましたが、話が進むにつれてどんどん机の上が荒れていくのがリアル……

 

ストーリーも面白かったんだけど、数ヶ所ちょっと納得いかないとこがあって、原作を読んだらわかるのかなってあらすじをざっとさらってみたら舞台版のストーリー原作と全然違ったー!笑 のでそういうもんなんだなって納得することにします。確かに原作の方がしっくりはくるんだけど、舞台としての華やかさとかを考えると脚本は正解だと思ったし。
ただ、どうしてもやっぱり「耄碌してしまった父親を元に戻したい」からの「人間の善と悪を分けられれば!」の流れはわからないんだよな……あの脚本が出来た当時、認知症なんかの精神的な病を発症するのは悪魔に精神を食われたからだとかそういう考えがあったんでしょうか。何かそういう文献とか知ってる方いたら教えてください。(わからなすぎてChatGPTに尋ねてしまったほどにわからん(なおChatGPTの答えは「明確な理由の説明がないから一般的な解釈しかわからん」でした。ですよねー! 一般的な解釈についてはなるほどなーと思いましたが同時にそれは公式の解釈ではなく人によって違うだろう、という見解もChatGPTと一致したので私の中に留めておきます←))

 

再演したらもっと観たいなあ!





3:ライオン・キング

いやまあ言いたいことはわかるがちょっととりあえず話を聞いてくれよ。

 

以前、まだミュージカルに露ほど興味もなかったころ、それでもそういうエンタメ系は元々好きだったので、3演目ほど劇団四季を観に行くチャンスをいただいたんですね。ただその時、楽しいと思えたのはリトル・マーメイドだけで(リトル・マーメイドは面白かった。海の底の表現半端なかったし、声が出ないって設定を心の声ってことで歌で表現するのかー! ってのが新鮮だった)、ライオン・キングも観たんですがイマイチぴんとこないまま終わってしまったんですよ。

 

で、ミュオタになった今観たらどう思うんだろうっていうのをずっと試してみたかったところ、「日付が空いたのに休演日とかが重なってて全然舞台がない」日があって、見たらライオン・キングだけがやってるしまだチケットあるし、だったのでこれはチャンスでは!? と思って観に行きました。ちなみに3演目のうちもうひとつは明確にあそこがなー! っていうのがわかっているのと今東京でやってないんで今はその時じゃないと思うんですけど、いつか挑戦してみたいですね。

 

というわけでこの忙しい3月にライオン・キングを観ました。
今観ると、やっぱり観方がわかってきたせいかリピートしたい! って程ではないけど楽しいなあ! って感情は湧きますね。あと四季独特の発声方法がちょっと苦手なんですけど、あれをやってるのに自然に聴かせる方々が何人かいてすげー! って思った。本当にプロなんだろうなあ。
ストーリーは単純明快ですけど、その分良かったなあ! で清々しい気分で終われる感じ。昔の私のもやもやにも一つ蹴りをつけることが出来ました。
ところでヤングシンバから大人シンバに変わる瞬間、前も少し笑ってしまった気がするんだけど、今観てもちょっと面白いって思ってしまうw 朝ドラとかの年代が進んだことによるキャスト交代を舞台にするとあんな感じになるんだなあ……w

 

幕間にロビーのあちらこちらで「ハクナマタタ!」って踊ってる子がいて微笑ましかったです。

 



4:マリー・キュリー

絶対好きな話だしキャストさんもちゃぴさんも上山さんも出てて夫婦役とか私得でしかないのに何で東京千穐楽しか日程が合わないの!? と発表の際キレた作品です←
RENTを取りすぎました。でも最推しを蹴ってこちらを入れる度胸はありませんでした。すみませんでした。

 

「ファクション・ミュージカル」、有り得たかもしれないもう一人のマリー・キュリーの物語、とわざわざ銘打たれているだけあって、史実として伝わっている彼女といい塩梅に離れているところがあったり、でも実はもしかしたら本当にこう考えていたけど史実として伝わったのは表面に見えていた今の記録なのかもしれない、と思わせる自然さが最高でした。歴史を適度に柔軟に想像して、「伝わっているものとは違うけど少しの匙加減で今伝わっている歴史に繋がるから、もしかしたらこうだったのかもしれないな」と思わせてくれる話はめちゃくちゃ好きなのです。

 

マリー・キュリーはそこら辺のフォローがめちゃくちゃしっかりできてて好感持てた。アメリカで実際ラジウムガールズ裁判になる前にフランスで揉み消された工場はもしかしたらあったのかもしれないし(ラストでルーベンはアメリカに渡っているし、アメリカのラジウムガールズが訴えを起こしたのはマリーの晩年の頃だ)マリーは本当はあんな風にラジウムの危険性を訴えていたけれど様々な圧力で揉み消されてしまったのかもしれない。もちろんそれは「もしも」の話なんだけれど、そこに繋がってもおかしくない、本当によく練られたお話しだなあと思いました。

 

タイトルが「マリー・キュリー」なのにもはっとしたんですよね。小さい頃図書室に置かれていた伝記の一つに「キュリー夫人」って書いてあって、どうしてこの人だけ夫人ってついてるんだろう? と疑問を抱きながらもそのまま通り過ぎてしまった記憶があるので。
劇中でもマリーが考え出したことを「ピエール・キュリーとその夫人」の功績として表彰されてしまうシーンがあるけれど、彼女はそういう時代にこんな偉業を成し遂げて、でも私はこのミュージカルを知るまで彼女がマリーという名前だったことすら知らなかったんだな、ということに気づいて、申し訳ないような気分になりました。マリー・キュリー。もう忘れない。
女性の地位、使い捨てにされる労働者たち、ラジウムの功罪、そういうことからも逃げないのに、単なる問題提起の物語になっていないストーリーがものすごいバランス。

 

マリーとピエールの関係性も大好きだなあと思いました。運命の人ってまさにこういう人たちのことなんだなって。だからこそ、葬儀の朝のシーンには泣きました。あれも「あったのかもしれない」シーンのひとつ。穏やかな役の上山さん初めて観たんですけれど笑、もっとああいう役でも観たいなあと思いました。いろんな役が出来る人なんだな。

 

マリーとアンヌの関係も好きだったなあ。元素周期表があんなに美しく見えたのも、元素周期表であんなに泣いたのも初めてです。

 

ねじ込んで観て本当に良かったけど、3月じゃなかったらもっとチケット増やしたかったー! なミュージカルの一つです。また再演やってくれないかな。

 



5:SPY×FAMILY

原作が好きです。アニメは途中まで見てます(見るのが嫌になったわけじゃなくて、続き物の映像作品見続けるのが激しく苦手なんですよね……)。
3月忙しすぎて入れるつもりなかったんだけど、FNS歌謡祭で増田アーニャが歌ってるとこ見たらクオリティが高すぎてもうこれは観ないと後悔するわ……と思って慌ててチケット取りました。まんまと策略にハマった……
Wキャストは森崎/唯月/増田/瀧澤の回。全く意識してなかったんですが、増田アーニャの東京楽でした。

 

いやあのごめんなさいこんな面白いとは思わなかった!
東宝が本気出して2.5次元舞台を作るとこうなるんだなってのをまざまざと見せられた気がしたし、出演者さんたちがとてもキャラとしてリアル。原作の笑いどころもうまく落とし込まれてて、帝国劇場でこんな笑う日が来ようとは。
原作があって出演者の姿まで作りこまれててさあ原作を再現するよ! と見た目でいかにも主張しているような2.5次元舞台は、あまりにキャラがかけ離れていたりストーリーに改変が加えられてたりすると冷めてしまうんですが、本当にうまく原作をミュージカルに落とし込んで、しかもたぶん初見の人にもわかりやすくなっていたと思う。
そのせいで第一の目的であるイーデン校に入学できた! けど入学式までたどり着かずに終わってしまったけど、あの後やると子役をめちゃくちゃ連れてこなくてはいけなくてあまり現実的ではないのでそこら辺もいい落としどころだったなあと思います。平和な帝国劇場素晴らしい。登場人物スパイと殺し屋と秘密警察とその関係者たちだけど。

 

アーニャをオーディションで決める、と聞いた際にはあまり期待していなかったのですが、さすが勝ち抜いてきた子たちだけあってむちゃくちゃアーニャだし度胸あるしすごい……と思いました。あとアクションの吹き替えがある舞台って初めて見ましたが、そのおかげでヨルさんのアクションめちゃくちゃ格好良かったです。もちろん簡単なアクションは唯月さんご本人がやってらしてこれも格好良かった。自分は絶対二枚目の顔を崩さないのに周りに振り回されて客席に笑いを振りまく森崎ロイドも最高。あとスーパー朝夏まなとタイムマジでスーパー朝夏まなとタイムだったしそれでいてストーリーの進行を妨げてないのもすごい。
考えてみると、今まで東宝主催で私が観た中で完全に虚無ったミュージカルってないのですよね。合わなかった、というのはあるにせよ。もしかしたら私が知らないだけで存在するのかもしれないけど、個人的に東宝への演目の選び方・作り方への信頼感が上がったミュージカルでした。

 

Wキャストはフォージャー家、特に大人2人をどうしてもこの組み合わせで観たくて、あとはFNSで観たのが増田アーニャだったのでこの回を選びましたが、カーテンコールの挨拶動画とか見て他のアーニャも見たくなった……謙信アーニャばり観てえし他のアーニャも絶対いいやつじゃんこれ……15分くらい本気で博多座に行く予定を考えてしまい「ムーランルージュがあるでしょ!」って何とか自分を抑えました。千穐楽の配信は観たいです。円盤は迷っています。

 

帝国劇場はいつも荘厳なミュージカルか某事務所の催し物的舞台やってるイメージですけど、休館に向けて、今まで観なかった層にも帝国劇場の存在を知らしめようとしているのかな、とは思いました。休館の間にミュージカルファンも入れ替わってるかもしれませんものね。
なんかこんな楽しい演目を、帝国劇場で観る贅沢を享受できて良かったなあと思います。ただ、1階A席は私には少し見辛かったです……後ろのお子さんちゃんと見えてたかな大丈夫かな……かさ上げのクッションはもらってたけど。





6:太平洋序曲

最初にもう一度言っておきますが、感想がめちゃくちゃマイナスなのでそれに耐えられる人だけこの項を読んでください。耐えられない人は<ここを押せば次のジェーン・エアの感想に飛べます>。



Wキャストは山本/海宝/ウエンツ。カーテンコールで前楽でWの方々の東京楽だと知りました(またか)

 

舞台美術はとても綺麗でした。屏風みたいな仕切りとか、丸くくりぬかれた後ろの壁とか。でも私基本舞台美術は良かったからまあよし! はならない人なので。

 

昔ミュージカルが苦手な理由の一つに、「歌ってる間話が進まないから」ってのがあったんですね。でもそれって話が進んでないように思えても登場人物の心情を歌ってたり、情景を表現したりしてるんだ、と思えるようになってからはミュージカルが楽しめるようになったんですけど、まさかこの期に及んで「歌ってる間全く話が進まない歌」に出会うとは思わなかった。苦痛すぎて、席が通路脇だったらたぶんあの曲の途中で帰ってたと思う。それくらい苦痛だった。木の上から見たからなんやねん。
神奈川のシーンも本当に苦痛でした。必要なシーンなのはわかるけど、それだけの尺取る???一幕物やで?????

 

あと私が気持ち悪くなってしまったのが、「将軍と老中を女性が演じていたこと」。ただ演じているだけならジェンダーの垣根を超えて役が出来るのっていいね、と素直に思えてたんですが、あれ結局外国に言いくるめられてしまう立場の弱い存在を女性が演じてたってことですよね。別にフェミニストとかじゃないんですけど、鎌倉殿の13人の政子のセリフを頭に思い浮かべてしまった。あれはわざと言っているなら、だったけど。わざとやっているなら。

 

極めつけは、いや江戸時代に将軍が斬り殺されたらいくら何でも大事件になるだろ、ってところ。我慢のメーターが振り切れました。(あとであれは桜田門外の変を外国人にわかりやすいように改変したんだ、という説を見かけましたが、そうだよね外国産のミュージカルだもんね、でもここ日本なんだ。)
たぶん再演されても、推しが出ない限り観ないと思います。つまらないを通り越して苦痛でした。

 

ただ、出演者の皆さんは良かったですね。本当に。だから余計に惜しい。山本さんの、アクシデントを笑いに変えてしまう狂言回しのスキル良かったし、ウエンツくんと海宝さんの歌のやり取りのデュエットも……まあ、あれもあれ以上長かったらキレてましたけど← 内容はちゃんとあったし、後半考えが逆転していくところに繋がっていくのが切なくて良かったです。(ただ実在の人物の人生をあそこまで改変するなよとは思った。途中ドラマチックにしようといろいろ捏造されてるエリザベートの人生すら彼女のポリシーや死んだ日や死に方はちゃんと歴史と辻褄合ってるんやで!?)あと皆さん歌うまでとても良かった。ただソンドハイムさんの曲の良さがストーリーのいらいらにかき消されてよくわかんなかったので今度はもっと別の演目で聞きたいです。最後のどんでん返しのような舞台のセットの変化の様、あれも意味があるんだろうなあと思うし演目によってはうわあ、と感動してたと思うんですがそれまでに疲れすぎてもう何も感じなかった。

 

まあでも気になっていたは気になっていたので、観たことは後悔してないです。再演があってもよほどのことが無ければ観ないだけで。

 

ここの感想飛ばした人のために少し多めに行空けますね。









7:ジェーン・エア(配信)

現地ではないんですけれど「観た作品」として含めたかったので。キャスト聞いた瞬間に「あっダメです取れないです」で諦めた作品なので、配信あって嬉しかった……
屋比久ジェーン回を観ました。

 

導入のナレーションが私の苦手な部類のストレート舞台みたいな感じだったのであれっ大丈夫かな……? と思ったんですが杞憂で、そういうシーンは本当に物語のアクセントのような最小限だったのでむしろ良かったです。セットも凝ってて(配信だと上演前に舞台セットの隅々を色々見せてくれて楽しかった)、あと舞台上でもお客さんが観てるって形が面白かった。


内容的にはあしながおじさんはいなかったけど救いだけを遺して逝ってしまった友人を思い続けて自分で道を切り開く少女のダディロングレッグズだな! と思うとすんなり理解できた。井上さんだし(……)ジルーシャもですけど、ジェーンもあの時代に自分の信じる道を、ジルーシャの武器は才能でしたけど、ジェーンは慈愛をもって切り拓いていこうという姿勢がとても力強くて良かったです。特にジルーシャの武器は最初から備わっているものだったけれど、ジェーンはまず自分が変われたからこそのその後の道なんだなあ、というのがとても良いなあと。最初は超ブラックな環境で大丈夫か……? って思ったけど家庭教師となった先の家は打って変わってホワイトでよかったし。主人のご夫婦以外は。
ロチェスターが何であんなでっかい秘密を抱えたままジェーンと結婚しようとしてたのかは謎ですけど(今でも犯罪だよお前)、ジャーヴィー坊ちゃまと違って最初っからジェーンのことめちゃくちゃ欲しがってるの隠さないのも良かったですね。いやダディロングレッグズと比較するな。(ジャーヴィー坊ちゃまのツンデレ具合も好きです)

 

屋比久さん、n2nで観たぶりだったので、今回は基本的に静かな曲が多い印象で、それでもしっかり歌い上げられててやっぱ好きだわ……となりました。また劇場で拝見したいなあ。萌音ヘレンも登場シーンが少ないながらも、その後の話の展開にはなくてはならないめちゃくちゃ重要な役を慈愛たっぷりで演じられていてとてもよかったです。ダディの亡霊が私にまだ憑りついてなければ萌音ジェーンも観たかった(※坂本真綾さんのファンなのでちょっとまだ井上×萌音ペアを実際見ることに抵抗があるという……萌音ちゃん自身はとっても好きなんだけど……)

 

再演があったら現地まで観に行くか? と聞かれるとどうだろう……となるんですけど、それでも見た後で心にあったかいものがともるような、良い舞台でした。




まとめです。

 

この他にもいろいろ上演していてもう全部拾いきれてないので結局何作品3月に東京で上演があったのかわかんない笑 しかも上記に加えて、推しがやたらイベントぶちこんできたのでほぼ毎日出かけてるし有給休暇はガンガン減っていくし、みたいなすさまじい1ヶ月でした。
まあでも楽しかったな! おそらくここまでいろいろと走り回ることも今後そうないかと思うので、そんな時期があってもいいよね、という感じだったので、ここに記録しておきます。たくさんの良い作品が観られたので、今年もこの調子でどんどんいい作品が観られるとよいですね。私はムーラン・ルージュ! にいろいろ吸われてあんま数見られなさそうだけど←

 

ここまで読んでくださった方お疲れ様でした。お互い今後も楽しいミュージカル観劇が出来るといいですね。とりあえず今度3月無事に乗り切りましたってお礼をしに神社に行ってこようと思います笑